前回は税務署などへの法人設立届について説明しました。
今回は法人登記後に行わなければならない、もうひとつの手続きである「社会保険関係」の届出について解説します。
社会保険関係とは具体的に言うと年金、健康保険、労災保険、雇用保険のことです。
参考情報として、年金の変更によって手続きが必要になる個人型確定拠出年金(iDeCo)についても合わせて記載します。
毎回書いていますが、確認しながら進めて行けば必ず出来ます。
一つひとつ着実にクリアしていきましょう!
今回のポイント
厚生年金と健康保険は強制加入
労働者がいない場合、労災保険・雇用保険の手続きは不要
個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入している人は変更手続きが必要
加入対象毎の必要書類・届出先・提出期限
一人法人は厚生年金と健康保険の手続きをすれば問題ありません。
参考として、労災保険と雇用保険についても記載しておきます。
厚生年金・健康保険
法人を設立した場合、法人事業所として厚生年金と健康保険への加入が義務付けられています。
・必要書類
- 健康保険・厚生年金保険新規適用届
適用になる事業所を届出る書類(様式は日本年金機構のHPよりダウンロード)
- 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届
被保険者となる社員(役員も)を届出る書類(様式は日本年金機構のHPよりダウンロード)
これに記載した報酬月額により厚生年金と健康保険の支払い額が決まります。
- 履歴事項全部証明書(原本)
・届出先:年金事務所
厚生年金は「日本年金機構」、健康保険は「全国健康保険協会」がそれぞれ運営していますが、年金事務所で一括して加入手続きを行うことが出来ます。
必要書類も共用のものになっています。
・提出期限:事業所開設後5日以内
届出することで、厚生年金と協会けんぽに加入出来ます。
労災保険
労働者を雇っている事業所は雇用保険に加入しなければなりません。
逆に言うと「労働者がいない場合」は加入の必要はありません。
・必要書類
- 保険関係成立届
- 労働保険概算保険料申告書
- 履歴事項全部証明書(コピー可)
・届出先:管轄の労働基準監督署
・提出期限:保険関係成立の翌日から10日以内
雇用保険
労働者を雇っている事業所は雇用保険に加入しなければなりません。
逆に言うと「労働者がいない場合」は加入の必要はありません。
- 雇用保険適用事業所設置届
- 雇用保険被保険者資格取得届
- 雇用保険被保険者証
- 保険関係成立届(控え)
- 履歴事項全部証明書(コピー可)
・届出先:管轄の労働基準監督署
・提出期限:保険関係成立の翌日から10日以内
それでは、「厚生年金・健康保険」の届出資料についてもう少し詳しく見て行きましょう。
保険証の返還
届出が受理された日で健康保険は切り替えになります。
今まで使っていた健康保険証は返却しなければなりません。
発行元の組合に連絡し指示に従って返却手続きを行いましょう。
体験談
私は以前勤めていた会社の健康保険組合を任意継続していたので、新しい保険証が到着後、そこに連絡し旧保険証と協会けんぽの保険証のコピーを送付しました。
切り替えによる年金・健康保険料の返還
年金、健康保険とも切り替えのタイミングなどにより、払い戻しが発生することがあります。
しっかり確認し、きちんと払い戻しを受けましょう。
体験談
私は国民年金の過払い分(一年分一括で払込んでいた)と旧健康保険組合に申し出るまでに引き落とされた分がそれぞれ返還されました。
特に健康保険組合の対応は非常に丁寧で戻ってくるのも速かったです。
個人型確定拠出年金(iDeCo)被保険者種別変更
対象は加入している方だけですが、新しく法人を立ち上げると必ず変更が必要ですので、注意してください。
特に国民年金加入者(第一号被保険者)から厚生年金加入者(第二号被保険者)になると拠出出来る金額も変更になります。
体験談
恥ずかしながら、全く意識していませんでした。
国民年金から厚生年金に変わったので、被保険者種別の変更を届けなければいけなかったのですが、国民年金基金連合会から「拠出停止。。。」の郵便が届いて初めて気づきました。
厚生年金に切替てからしばらく経っていたので、直ぐに手続きしたものの1ヶ月分拠出できない事態となってしまいました。
iDeCoに加入されている方は忘れずに手続きしましょう!
まとめ
如何でしたでしょうか?
社会保険関係は一人法人だと厚生年金・健康保険だけなので、それほど難しい手続きはないかと思います。
私的にはiDeCoが落とし穴でした(笑)
皆さまは計画に織り込んで対応してください。
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