【自分で出来る】法人設立の方法②(定款編)

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やれることは自分でやる方針で法人設立について解説しています。

2回目の今回は「基本事項の決定」と「定款の作成」について解説します。

繰り返しになりますが、法人設立の作業はポイントを押さえて、順番に実施していけば誰にでも出来ることです。

一つづつクリアして行きましょう。

前回は法人設立の目的を整理し、設立の全体プロセスを確認しました。
まだ読まれていないという方は、是非読んでみてください。

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法人の設立を自力でやってみたい。

法人を設立する手順や作業を具体的に知りたい。

基本事項の決定

定款作成に向け、法人の基本事項を決めて行きます。

最終的に決めるのは登記申請や年金事務所への書類提出までで大丈夫な項目もありますが、会社の大枠となるものなので早めに決めておきましょう。

①商号

社名のことです。(社名は正式には商号と言います

他社と混同されにくい、わかりやすいものにしましょう。

商号には、ひらがな、カタカナ、漢字、アルファベット、アラビア数字が使用出来ますが、特殊文字は決まった文字以外は使用出来ないので注意が必要です。

会社の種類(株式会社や合同会社)を合わせて標記します。
例:株式会社〇〇、△△△株式会社

同一住所に同一の商号では登記出来ません。(以前は同一市町村内に同一の商号は登記出来ませんでした。)

念のため国税庁の法人番号検索サイト(商号から検索可)などから同じ商号が登録されていないか確認しておきましょう。

②印鑑準備

商号が決まったら、法人印を作りましょう。

①代表者印(丸印)、②銀行印、③角印(法人の認印)の3つを作っておくと便利です。

使うのは少し先になりますが、作成に時間が掛かりますから、早めに発注しておくと後で焦らずにすみます。

③役員報酬額

役員の給与です(一人の会社なら自分の給与です)。

役員報酬は株主総会で決議され、一度決めてしまうと期中での変更は原則出来ませんから、慎重に決める必要があります

資本金額

簡単い言うと会社が使える運転資金のことです、現在の会社法では1円でも登記可能ですが、収入の見込みなどから、直ぐに赤字にならないよう考えましょう。

資本金が多いほど信用は高くなりますが、1000万円以上だと消費税の免徐を受けられないなど税制上のルールもあります。

定款作成

定款は会社の根本となる規則で大前提となる重要な文書です。

これをきちんと作成しないと会社は登記出来ません

また、後から改定すると手間も掛かりますし、費用も発生します。

記載内容を吟味し納得行くものを作成しましょう。

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ここまでで、とても重要な書類だと言うことは判ってもらえたと思います。

しかし、作成が難しいと言うわけではありません。

法務局をはじめ、ネット上には雛型が準備されています。

雛型を基に、一つひとつの項目を理解しながら作成すれば誰でも問題なく作成出来ます。

定款記載事項の種類

定款に記載する項目は3種類に分けられます。
先ずはその主旨を押さえておきましょう。

  1. 絶対的記載・記録事項

    必ず記載しなければならない項目です。
    これが抜けていたり、間違っていると定款は認められず、会社は登記出来ません。
  2. 相対的記載・記録事項

    その項目について決定した場合は定款に記載しなければならない(記載しなければ効力がない)項目
  3. 任意的記載・記録事項

    定款に記載してもしなくても良い項目
    定款に記載するメリットは、定款に記載しておくと定款を変更しない限り、その項目は変更出来ないことです。

では、一つひとつの項目を確認していきましょう。

「3.任意的記載・記録事項」は記載しなくても良い項目なので説明は割愛します。

1.絶対的記載・記録事項(定款に必ず記載する項目)

次の5項目が絶対的記載・記録事項です(会社法27条)

1.商号、2.目的、3.本店所在地、4.設立に際して出資される財産の価格又はその最低額、5.発起人の氏名又は名称及び住所

ただし、株式会社の場合、絶対的記載・記録事項には含まれていない「発行可能株式数」も必ず記載が必要(会社法37条)と言うことになっています。

ですので、定款に必ず記載しなければならない項目は、次の6項目と覚えておきましょう。

  1. 商号

    会社名です。

    会社の種類である「株式会社」は前後どちらに付けても問題ありません。

  2. 目的

    会社の事業目的を記載します。

    目的は取引先や銀行などが会社を確認する際、真っ先にチェックされる項目です。

    事業の内容が明確にわかるように記載しましょう。

    実際に行う事業に加え、将来的に行う予定の事業がある場合は、これらも記載しておきましょう。

    一通り記載したら最後に「前各号に付帯関連する一切の事業」と記載しておきましょう。

    この一文で、具体的に記載されていなくても関連があれば、目的の範囲として事業が行えます。

  3. 本店所在地

    会社を登記する場所のことです。

    あくまで登記する場所であって事業を行う場所(事務所)は別の場所にあってもかまいません。

    自宅でも構いませんし、シェアオフィスやバーチャルオフィスでも登記は可能です。

    ※自宅を本店にする場合、賃貸や集合住宅(自己所有でも)の場合は法人の登記について禁止されていないか契約や管理組合の規約を必ず確認しましょう。

    ※シェアオフィスやバーチャルオフィスを本店にすると法人口座の審査が通り難い場合があるようなので、その辺りも考慮のうえ決めることをお勧めします。

    本店所在地の標記は「独立最小行政区画」まで記載するば良いことになっています。例:「東京都xx区」

    勿論、番地まで記載することも出来ます。

    独立最小行政区画にしておくメリットは、同じ区内、市内で引っ越しても定款を変更しなくて良いと言うことです。

  4. 設立に際して出資される財産の価格又はその最低額

    資本金の額と思っておいて大丈夫です。

    当初決めた出資額について一部しか振り込まれないなどの事態になった時でも会社を設立出来るよう最低額記載しておくことも出来ます。

  5. 発起人の氏名又は名称及び住所

    発起人が個人の場合は氏名と住所、法人の場合は名称と住所を記載します。

  6. 発行可能株式数

    将来に渡り、株主総会の決議によらず、取締役会の決議のみで発行可能な株式総数の上限数のことです。

2.相対的記載・記録事項

次の8項目が相対的記載・記録事項です。

  1. 現物出資

    現金ではなく、車や不動産などの資産を出資金に充てる際の記載項目です。

    現物出資する人、対象物の名称、価額、割り当てる株式数を記載します。

    現物出資は、その合計金額が500万円を超えた場合、裁判所に依頼し弁護士や公認会計士による現物出資の価額内容について調査を行う必要があります。

  2. 財産引受

    発起人が会社設立を条件に株式の引受人や第三者から財産を譲りうける際の記載項目です。

    譲り受けることになった財産の名称、価額、譲渡人を記載します。

    財産引受も現物出資と同様に、その合計金額が500万円を超えた場合、裁判所に依頼し弁護士や公認会計士による現物出資の価額内容について調査を行う必要があります。

  3. 発起人の報酬

    会社設立に尽力した発起人に対する報酬についての記載項目です。

    不当な報酬とならないよう定款で定めておきます。

  4. 設立費用

    会社設立のために発起人が使った費用の取り扱いについての記載項目です。

    不当な額とならないよう定款で定めておきます。

  5. 株式の譲渡制限に関する規定

    株式を譲渡により取得すること場合に「会社の承認が必要」であることを記載しておくのが一般的です。

    小さな会社の場合、他者に会社を支配されてしまうことを未然に防止する意味で記載しておくことをお勧めします。

  6. 株主総会の招集通知を出す期間の短縮

    定款に記載することで、非公開会社は1週間前と定められた招集通知を出す期間を短縮することが出来ます。

  7. 役員の任期の伸長

    以前の法律では役員の任期は最長2年と決められていましたが、法律が改定され、株式譲渡制限のある非公開会社であれば、定款に記載することで最長10年とすることが可能となりました。

    任期の都度、法務局で登記を行う手間なども考慮し長めに設定しておくことをお勧めします。

  8. 株券発行の定め

    株券を発行する際は、定款で発行する旨を記載します。

    通常は株券を発行しない会社がほとんどです。

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