ベトナムオフショア開発 勝利の鍵②(役割と責任を明確にしよう!)

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前回に引き続き、ベトナムオフショア開発についての記事です。
前回は大前提として日本語能力とIT業自体の歴史の浅さについて考察しましたが、今回はもう少し踏み込んで「開発プロジェクトの一部を委託する」際に押さえておきたいことの一つである役割と責任についてです。

読んでいただくと、ベトナムオフショア開発での役割・責任についての課題と対策を理解いただけると思います。

ベトナムでオフショア開発されている方やベトナムオフショア開発を検討されている方の参考になれば幸いです。

この記事を読んで欲しい人
悩んでいる人
悩んでいる人

・ベトナムでオフショア開発してるけど、なかなか上手く行かないんだよな?

・ベトナムオフショア開発ってぶっちゃけどんな感じ?

ベトナムオフショア開発に携わっている方オフショア開発を推進している方などに読んで欲しい記事です。

今回の結論

ベトナムオフショア開発を成功させるには次の2点は必須です。

①プロジェクトに係るメンバー全員の役割と責任を明確に定義し全員に共有する。
②役割と責任が機能しているか定期的に確認する。

2つともプロジェクトマネジメントの基礎ですね。
ベトナムオフショア開発に限らずプロジェクトを実施するなら実践すべき項目ですが、
分化や習慣、それにITプロジェクトに対する考え方が日本と異なるベトナム企業に発注する際はしつこいくらいきちんとやっておかないと思わぬトラブルとなることがあります。
明確に定義し理解するまで説明するようにしましょう。

では、どのように定義し、どのように確認すれば良いか見て行きましょう。

プロジェクト体制

プロジェクトにおける役割の基本になるものです。
プロジェクト計画書を作成する際にその一部として一緒に作成しましょう。

作成時のポイントは以下の通りです。

  1. 自社(委託元)の体制と委託先の体制を左右対比させるように記述しプロジェクトの各レベルでのカウンターパートを明確に定義する。
  2. 管理の単位を明確にするとともにメンバーそれぞれのレポートラインを明確にする。
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職種(ポジション)

日本でプロジェクトを実施しているとプロジェクトに登場する職種は同じ用語で同じ役割です。
しかし、ベトナム企業では日本と異なる名称の役割があったり、同じ用語でも役割が違ったりするものがあります。
この辺もプロジェクト開始前に整理しておかないと「〇〇がやっていると思っていたのに実は誰もやっていなかった」みたいな状態になってしまいます。

ここで注意するポイントは以下の3点です

  • PMの役割

    オフショアの管理はするが、報告などお客様(委託元)対応や業務要件の把握などは意識しない傾向にあります。その分はBrSEやTLがカバーすることになっているようなのですが、メンバーの能力とともに役割分担を確認しておく必要があります。

  • 誰が業務(要件)を理解するのか

    TLが要件定義や基本設計を実施することになっていますが、結合テスト・システムテストはTesterとTest Leaderが実施・確認することが多いです。
    第三者検証と言う観点では良いと思いますがTLとTester・Test Lerderが連携出来ていないとテスト漏れなどの問題が発生します。

  • 基盤設計・構築できる技術力はあるか

    基盤設計・構築を任せることは少ないかもしれませんが、TLはアーキテクトというよりも優秀な開発者(Dev)といったメンバが多く実力を確認する必要があります。

【参考】ベトナム企業のプロジェクトにおける職種とその役割

職種役割
PM(Project Manager)プロジェクト管理、要件定義確認、基本設計確認、基盤構築確認
TL(Technical Leader)プロジェクト管理、要件定義、基本設計、基盤構築、要件定義確認、詳細設計確認、プログラムコード確認、単体テスト結果確認
Dev(Developer)詳細設計、プログラミング、単体テスト、基盤構築
Tester結合テスト実施、システムテスト実施
Test Leader結合テスト計画、結合テスト結果確認、システムテスト計画、システムテスト結果確認
BrSE(Bridge SE)顧客対応、要件定義
DM(Dept Manager)プロジェクト状況確認(ラインマネージャ視点)
QA(quality assurance)プロジェクト状況確認(第三者視点)

必要な役割と責任を割り当てる

ベトナム企業の良くある職種と役割分担は前述の通りですが、委託する際に重要なのは職種毎と言うよりも、対象プロジェクトに必要な役割と責任を漏れなくプロジェクト体制に割り当てることです。
日本式の職種(ポジション)の定義にこだわるよりも、実際に必要な役割と責任を明確にして確実に実施されるようにしましょう。

実施(作成)者と確認者

役割と責任を整理する際には「誰が実施(作成)するのか」と「誰が実施状況や作成した物を確認するのか」という2つの観点で考えると抜け漏れなく整理出来ます。

誰が何を確認するか定義

役割と責任が機能しているか定期的に確認

役割・責任の定義について書いて来ましたが、折角苦労して定義しても実践されなければ意味がありません。
そういう意味で、定義定期的な点検は定義と同じくらい重要です。
確認方法は色々な方法がありますが、確認結果のエビデンスを残すプロセスにしておいて、それを確認するのが効果的です。

まとめ

如何だったでしょうか?
分化や習慣、ITプロジェクトに対する考え方が異なるベトナム企業に発注する際の課題である「役割と責任の定義」はとても大切です。

是非、実践してください。

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