4回目の今回は「登記書類の作成」と「登記申請」を中心に解説します。
繰り返しになりますが、法人設立の作業はポイントを押さえて、順番に実施していけば誰にでも出来ることです。
一つづつクリアして行きましょう。
この記事を読んで欲しい人
悩んでいる人
定款は出来たけど申請に必要な他の書類について詳しく知りたい。
申請資料を一人で作成しているけど、間違っていないか不安だ。
今回のポイント
・資本金払込のタイミングは定款認証の後
・登記申請書類に記載する住所は不動産登記簿の表記通り記載
・法務局に行ったら申請前に事前確認を受ける。
資本金の払込み
資本金を口座に払い込みます。
法人口座はまだ出来ていませんから、払い込む口座は発起人の個人口座です。
発起人が複数いる場合は代表の口座に振込みます(資本金を集めるイメージですね。)
ポイント
資本金の払込みでのポイントは2つです。
- 払込のタイミングは定款認証の後
定款の承認後に払込を行うのが正式な手順となっているので、逆だと登記申請時に受理されません。
最短で登記申請しようと考えると、出来ることは先にやっておいて、定款が認証されたら全ての書類が揃うように段取ると思いますが、ここだけは注意が必要です。
ちなみに、順番を間違える人は後を絶たないようで、申請の多い東京都では、きりがないので黙認しているとのうわさもあるようです。
後で揉めるのもつまらないので、正しい手順で処理しましょう!
- 払込口座は通帳のある口座を使用
申請資料の1つである「払込証明書」を作る際に銀行通帳のコピーが必要になります。
通帳がない場合はネットバンキング画面のハードコピーでも代替え可能ですが、審査のことも考えると一般的な方法である通帳のある口座で処理しておくのが無難です。
登記申請書類の作成
定款の認証も完了し、資本金の払込みも終わりました。
次は会社を登記するための申請書類の準備です。
少し種類が多くて煩雑に思うかもしれませんが、心配いりません。一つひとつ確認し、必要なものを作成して行けば問題なく完成出来ます。
では、一つずつ見て行きましょう。
①登記申請書
法務局のHPからダウンロード出来ますので、目的に合ったものを選んでください。
通常は「株式会社・取締役会設置会社の発起設立」を使うことになると思います。
基本的に様式に従って項目を埋めて行けば完成します。
ポイントは次の2項目です。
1.本店
本店の記載については次の2点に注意して記載してください。
- 住所は不動産登記簿の表記通り記載する。
- マンションなどに登記する場合、住所の記載を番地までか、建物名・部屋番号までかを選ぶことが出来る。
プライバシーのことを考えれば番地までにしておくべきですが、それだと銀行などからの郵便物が届かない恐れがあります。
良く考えて決めてください。
2.登録免許税
登録免許税の額は「資本金額の1000分の7」と15万円の大きい方です。
ほとんどの会社は15万になると思います。
<<参考>>
登記申請書のファイルには登記に必要な書類のサンプルが一通り含まれていますが、これらを全て揃える必要はありません。
登記する自身の会社に合わせ、取捨してください。
例えば、取締役が一人であれば、自動的にその人が代表取締役になるため「設立時代表取締役選定決議書」は不要ですし、現物出資や財産引継ぎがなければ「調査報告書」は不要です。
②登録免許税の収入印紙を貼付した台紙
登記申請書のファイルに含まれている「収入印紙貼付台紙」を使えば問題ありません。
実はここまでが「登記申請書」です。
①②を製本し、代表取締役印(会社の実印)を押印します。
複数ページになる場合は、各見開きページの綴り部分に契印をしてください。
④発起人決定書
定款で「本店所在地」を詳細まで記載していないなどの場合の必要書類です。
ダウンロードした登記申請書の書式だと、何種類かの同意書・決議書が添付されていますが、社員が自分だけの場合は本店所在地を含め以下の4項目を記載しておけば十分です。
・発起人○○が割当てを受けるべき株式の数及び払い込むべき金額
○○ 普通株式 ○株 株式と引換えに払い込む金額 金○円
・資本金額
設立に際して出資される財産全額を資本金とし、その額を金XXX万円とする。
・設立時取締役
住所・氏名
・本店所在地
住所(番地まで)
発起人が署名・個人の実印を押印します。
⑤取締役の就任承諾書
読んで字の如くですね。会社宛てに、個人の住所、氏名を記載し個人の実印を押印します。
※代表取締役や監査役が選任された場合は、各々の就任承諾書も同様に作成します。
⑥代表取締役の印鑑証明
代表取締役に就任する者の「個人の印鑑証明書」です。
⑦払込証明書
証明書を表紙として、後ろに資本金の払込をした口座の通用のコピー(表紙、個人情報欄、記帳欄)を製本し、代表取締役印(会社の実印)を押印します。
複数ページになる場合は、各見開きページの綴り部分に契印してください。
⑧登記すべき事項を保存したCD-R
テキスト文書で作成、CD-Rに格納して提出します。
法務省のHPに雛型(登記事項の作成例一覧)があるので、これを基に作成しましょう。
私が提出した項目は以下の通りでした。参考にしてください。
「本店」○○県○○市XXXXXX丁目X番地のX
「公告をする方法」官報に掲載してする。
「目的」
1 XXXXXXXXXXXXXXXXX
2 XXXXXXXXXXXXXXXXXXXX
3 上記各号に附帯関連する一切の事業
「発行可能株式総数」XX万株
「発行済株式の総数並びに種類及び数」
「発行済株式の総数」XXX株
「資本金の額」金XXX万円
「株式の譲渡制限に関する規定」
当会社の株式を譲渡により取得するには,当会社の承認を受けなければならない。
「役員に関する事項」
「資格」取締役
「氏名」XX XX
「役員に関する事項」
「資格」代表取締役
「住所」○○県○○市XXXXXX丁目X番地のX
「氏名」XX XX
「登記記録に関する事項」設立
⑨印鑑(改印)届出書
法人登記申請とは別の手続きですが、申請のタイミングで済ませてしまうと二度手間になりません。
法務局のHPからダウンロードした様式に記入、会社の実印と個人の実印を押印します。
書類が準備出来たら①~⑦を1冊にまとめホチキスで綴じましょう。
法人登記申請
申請書類の準備が出来たら、いよいよ申請です。
申請は資本金の払込から2週間以内に行わなければならないことになっています。
また、法人の設立日は登記完了日ではなく申請日になります。設立日にこだわりのある方は気を付けてください。
申請は本店所在地を管轄する法務局で行います。
①事前確認
法務局では事前に予約することで、申請書類の事前確認をしてくれます。
申請してから不備があると2度手間になるので、事前確認してもらうことをお勧めします。
②印紙の購入
売店で印紙(15万円)を購入、台紙に貼ります。
③申請
準備した書類を渡すと、書類の漏れがないか確認後、受理されます。
登記完了の予定日と何かあった場合に連絡するなどの説明があります。
体験談
・申請日当日
私は事前確認が予約制だと知らず、当日お願いしたところ、2時間待ちと言われてしまいました。
一度は申し込んだのですが、前の順番の人が実際に確認している様子を見ていたところ、申請者の女性が頼りないからか、確認者がかなり高圧的な感じに見えてしまい遠慮することに(笑)
何度もセルフチェックいたしと言い聞かせ申請しました。
・翌日
法務局から携帯に連絡があったのですが、その時は気づかず出れませんでした。
数時間後に気づき、「やり直しか、しまったな」と思いつつ折り返すと「定款の目的で判らないことがあったため聞きたかったが、調べて理解できたので問題ない」とのことでした。
いやー、焦りますよね。
その2日後に、電子定款の作成を手伝ってもらった司法書士の友人か連絡があり、「法人番号公表サイトで検索したら出て来たから登記出来てますよ」とのこと。
予定日よりだいぶ早く完了ました。
まとめ
如何でしたでしょうか?
一つひとつ確実にやって行けば、必ず出来ます。
落ち着いてチャレンジしましょう。
コメント